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博多港、長崎港 クルーズ船寄港急増でバスが不足!

長崎港

2015年4月22日付、西日本新聞の記事によると、博多港、長崎港のクルーズ船が急増しており、乗客が観光・ショッピング等で使うバスの不足が深刻化しつつあるそうです。

博多港、長崎港の寄港状況は次の通りです。

(国土交通省九州運輸局データ)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
2015年
博多港 84 55 112 38 115 (予想)200以上
長崎港 54 21 73 39 75 (予想)130以上

* 2011年 東日本大震災
* 2012年 韓国クルーズ船が運行開始
* 2013年 日中関係の悪化、韓国のクルーズ船の運休
* 2014年 中国のクルーズ船が運行開始

ご覧のように、博多港及び長崎港のクルーズ船寄港回数は、かなり急激に増加しています。

クルーズ船の乗客を運ぶバスが足りない!

例えば、2500人の乗客を乗せた大きなクルーズ船が1隻博多港に入ると、大型バス約60台が必要となります。

長崎港
長崎港のクルーズ乗客用バス Photo By Toby Simkin

時には、100台必要な時もあり、福岡市で国内ツアーを担当する海洋観光(福岡市)の役員の話では、バスが足りずにお隣の佐賀県から手配することもあるそうです。

連休などの旅行シーズンと重なると一層手配が難しくなります。

長崎港も同じような様相を呈しており、そのため、長崎県は今年1月にはバスの業界団体や旅行会社などと対策会議を開催しました。

さらに複雑なのは、バスが足りない背景として、需要の大きいことに加えて、国が貸切バスの運賃を実質的に改定した影響もあるそうです。

つまり、国の規定通りにすれば、バスの料金は従来の2倍近くにもなり、クルーズ船側は安くしようとするので、料金が折り合わず仕事を断るバス会社も出てきています。

国も対策を取っています。

原則、貸切バスの営業区域は都道府県単位とされており、発着地のいずれかが区域内でなければなりません。

しかし、九州運輸局などに申請すれば、臨時的に県外に営業区域を広げることも可能です。

実際、同局にはクルーズ船の関連で2014年度には123件の申請があったそうです。

2013年度は申請件数が1件であったことから、激増しておりクルーズ船の入港対応に苦慮している状況が伺えます。

そこで、国土交通省も、このバス不足に対応するために、2014年度から訪日外国人ム家ツアーを対象として営業区域を九州全域などに拡大できる特例措置を実施しました。

この特例措置には、2015年度は九州で9事業者が認可を取ったそうです。

このため、例えばクルーズに今のところあまり関係がない大分市にあるバス会社では、「県境を越えて積極的に営業できる環境が整いつつある」としてバス不足を絶好のチャンスとして広域的に攻勢をかけてきています。

一番大事なことは、折角、国内外からのクルーズ船の入港によって、その地域の経済的活性化も大いに振興するわけですから、関係機関が諸手を上げて乗客の利便性をさらに高めて、さらなる入港回数を増やしていくことだと思います。