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2020年東京オリンピックに向けて東京港のクルーズ船受入れと経済効果

2020年の東京オリンピックに向けて東京港は?

東京オリンピックの開幕は2020年6月、ちょうど6年後になります。

東京では様々な開発計画が進行しています。

その中でも、港にやってくる海外からの様々なクルーズ船に熱い視線が送られています。

しかし、東京にはある障害があり、クルーズ船の誘致が進んでいません。

2020年に向けて、巻き返しを図りたい東京ですが、東京港はどのように変わっていくのでしょうか。

実は、船の科学館のすぐ隣に新しい埠頭が出来る計画があります。

2014年3月4日、東京都の舛添知事は議会で次のように答弁しました。

「オリンピックとパラリンピックの関連施設の整備を着実に進めつつ、大型クルーズ客船埠頭の新設、国際観光拠点へと発展させてまいります。」

つまり、2020年までに利用開始を目指す新しい埠頭の計画で、約100億円を超す予算が見込まれています。

大きく変わる東京の玄関口は変わらなければいけない理由がありますが、そのことについては後述します。

博多港のクルーズ船受け入れと経済効果

さて、福岡市の家電量販店では、朝礼で中国語のあいさつの練習をしています。

クルーズ船が博多港に入港する日はいつもやっています。

10時の開店と同時に、クルーズ船にのってやってきた中国人の団体が入店します。

その買いっぷりには凄まじいものがあります。

7月2日、博多港にクルーズ船のサファイア・プリンセスがが入港しました。

サファイア・プリンセス
サファイア・プリンセス Photo by Franz Neumeier

サファイア・プリンセスは、定員2670人、水面からの高さが約63mもある巨大クルーズ客船です。

サファイア・プリンセスが入稿した時に博多港国際ターミナルには観光バスが30台も並びました。

この船からは大勢の中国人観光客が降りてきて、観光バスに乗り込みました。

停泊時間は11時間ですが、彼らを乗せたバスは商業施設であるキャナルシティに向かいました。

午前10時の開店と同時に、中国人観光客は大型家電量販店であるラオックスになだれこみました。

家電商品などを買いまくりますが、支払いは日本円はもちろんですが中国元でもOKです。

主に売れるのは、炊飯器、デジタルカメラなどですが、一人で数十万円も買う人がいました。

炊飯器と言っても、1台10万円もする高級炊飯器でそれも複数台購入しました。

自分の家で使用するだけでなく、親や親戚・知人用に購入しています。

キャナルシティのラオックスでは、クルーズ船が入稿した時は、売上げが普段の日の焼く10倍にもなるといいます。

福岡市の推定では、一昨年博多港に寄港したクルーズ船による経済効果は約59億4千万円に上るそうです。

沖縄那覇港のクルーズ船受け入れと経済効果

こうした経済効果を狙って、全国各地では誘致合戦が繰り広げられています。

沖縄の那覇港では、今年4月にクルーズ船専用ターミナルをオープンしました。

台湾からのスタークルーズのスーパースターアクエリアスなどが寄港しており、一度に台湾から1400人もの乗客が降りてきます。

スーパースター・アクエリアス
スーパースター・アクエリアス Photo by salehi hassan

ドラッグストアで日本製の化粧品や薬品などを購入したりしています。

那覇港管理組合の担当者によると、大型クルーズ船の1回の寄港あたり、約1億4千万円の経済効果があると試算しているそうです。

東京港のクルーズ船受け入れの大苦戦と打開策

2013年の外国籍クルーズ船の寄港回数は次のようになります。

1位 石垣 59回
2位 那覇 41回
3位 長崎 35回
4位 横浜 32回
5位 博多 19回
6位 神戸 18回
7位 広島 16回

しかし、東京港は16位、6回と大苦戦している状況です。

大都市で、大観光地である東京のクルー前記光回数が少ない理由はレインボーブリッジの存在です。

クリスタル・シンフォニーが晴海埠頭に入港する際は、レインボーブリッジの下を通過しましたが、クリスタル・シンフォニーの水面からの高さは約50mですが、レインボーブリッジの高さは約52m問わずか2mの差しかありません。

クリスタル・シンフォニー
クリスタル・シンフォニー Photo by Jonathan

実は、レインボーブリッジは1993年に開通しましたが、その当時最大級の豪華客船であった「クイーン・エリザベス2世号」が通過できる高さで建設してしまったのです。

ところが現在、より安い価格でクルーズを楽しむ人が増えて船が大型化してしまい、レインボーブリッジをくぐれず、晴海埠頭に着けることができない船が増えているのです。

これこそが東京港が苦戦している理由です。

そこで、大型船の寄港に東京港がどう対処しているかというと、例えばアジア最大クラスであるボイジャー・オブ・ザ・シーズ、定員3114人、高さ約63mの場合、大井埠頭に着岸させています。

ボイジャー・オブ・ザ・シーズ
ボイジャー・オブ・ザ・シーズ Photo by alachia

つまりレインボーブリッジの手前に接岸させているわけです。

しかし、大井埠頭は貨物専用埠頭で、入国審査などの設備がありません。

そこで、急遽倉庫の中にプラスチックケースを積み上げて、簡易のテーブルを作り、簡易の手荷物カウンターとしたり、入国審査場も臨時に設けられています。

このような状況に鑑み、東京都はレインボーブリッジを潜る必要がない何時でも使える埠頭を作ることにしました。

それは、東京都港湾局港湾経営部振興課によると既存の岸壁に平行な形の全長430mの巨大な桟橋を整備していくというものです。

こうすることにより、レインボーブリッジをくぐることができない超巨大クルーズ船も停泊することができます。

その経済効果は、一度の寄港で約2億円だそうです。

オリンピックイヤーの2020年には、年間75回の海外クルーズ船の寄港をめざしているそうです。

新たな海の玄関口は、観光客取り込みの起爆剤となるのでしょうか?