福岡市は、クルーズ客船による観光客の受け入れ体制を充実させようとしています。
博多港の中央ふ頭にはクルーズ船に対応できる旅客施設を建設する予定があります。
これまで、博多港にはサン・プリンセスやボヤージュ、コスタビクトリアなどが入稿していますが、クルーズ船乗客の入国審査には船内に審査官が乗り込んでおこなわれていました。
高速船のビートルなどが接岸する博多港国際ターミナルには、出入国審査をするブースがわずか8ヶ所しかなく、多数の乗客が乗り込んでいるクルーズ船には対応できないのが実情でした。
新たに建設が予定されているクルーズ船旅客施設には、出入国審査ブースが20ヶ所以上設けられることになっています。
乗客が2000人規模のクルーズ船では、全員の入国審査に2時間半ほど必要でしたが、新施設では1時間程度短縮される見込みです。
福岡市内のクルーズツアーを取り扱っている旅行業者も新たな旅客施設ができることには大喜びです。
というのも、専用施設ができ入国審査の時間が短縮されることで、それだけ福岡での滞在、観光時間が多く取れることになり充実した福岡観光ができるからです。
しかし、一昨年の外航クルーズ客船の博多港への来航は91回でしたが、最近の中国との関係悪化などがあり、去年は22回と激減しました。
今年の状況はというと、現時点では122回の来航予約が入っていますが、中国との関係のように状況が変わればキャンセルされることもあり、楽観視はできません。
外国からの来航の誘致に努めていくことはもちろんですが、実は福岡市は受け身ではなく、博多港発着のクルーズにも力を入れていくようです。
高島市長によると、「アウトバウンド、つまり博多港発着がこれから劇的に増える」と見込んでいます。
今日本を含むアジアでは、クルーズ船に乗ったことがある人はわずかに0.02%にすぎません。
それにひきかえ、ヨーロッパなどでは0.1%もあります。つまり5倍もあり、市場の拡大が極めて期待されるようです。
世界のクルーズ会社が、博多寄港のみならず、博多港発着のクルーズツアーを組んでくれれば、福岡市の観光の発展にもつながることとなります。
ちなみに博多港のクルーズ船旅客施設には、建設費に9億円がかかりますが、福岡市の第3時産業従事者は全従業者の88%であり、クルーズ客を呼びこむことは都市の活力増強に直結します。
それだけに費用対効果をどこまでできるか、福岡市行政の手腕も問われることになります。