3 日本発着クルーズ

クァンタム・オブ・ザ・シーズ ロイヤルカリビアンインターナショナルと広島県が広島港寄港の覚書交換

クァンタム・オブ・ザ・シーズ

クルーズブームの高まりに連れて、港湾を所有する各自治体のクルーズ船誘致活動が活発化しています。

そのような中で、広島県がクァンタム・オブ・ザ・シーズなどを運航するロイヤルカリビアンインターナショナル社と広島港の協力関係と相互発展に関する覚書を次の通り調印しました。

◯ 広島県&ロイヤル・カリビアン・インターナショナル社覚書調印式

  • 開催日時 平成27年8月25日(火)12:30~13:00
  • 場所 広島港五日市岸壁クァンタム・オブ・ザ・シーズ船内5デッキ270°ラウンジ
  • 出席者
    ロイヤル・カリビアン・インターナショナル中国・北アジア太平洋地区社長劉淄淄楠(リュウジナン)
    広島県知事湯﨑英彦など約150人
  • 内容 調印式(広島港の協力関係と相互発展に関する覚書)

具体的にどのような内容の覚書なのかは、広島県の公式ホームページで検索しましたが、不明です。

ただ、2015年8月11日の産経ニュースによると次のようです。

詳細は調整中だが、船会社側からは広島への優先寄港を約束、県側からは歓迎イベントの充実や、乗客が上陸する際に入国審査や検疫などがスムーズに行われるようCIQ態勢の整備に努めることを記載するとみられる。

つまり、ロイヤルカリビアンインターナショナルの中国上海を母港とする「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」の広島県優先寄港を約束してもらう代わりに、広島県の方は、歓迎イベントを盛大に行い、入国審査や検疫などがスムーズになるように施設や人員の充実を行うというもののようです。

すでに、博多港ではクルーズセンターを新設し、入国審査や検疫などのスピードアップを図っていますので、このようなことが念頭にあるのでしょう。

クァンタム・オブ・ザ・シーズ
クァンタム・オブ・ザ・シーズ Photo by rainer.n.foto

2013年には東京都とロイヤルカリビアンインターナショナルが覚書に調印

ロイヤルカリビアンインターナショナルは、覚書を交わすのは広島県が初めてでなくすでに東京都と交換しています。

◯ ロイヤルカリビアンインターナショナルと東京都港湾局の覚書(MOU)調印

  • 開催日時 平成23年9月14日(火)
  • 場所 東京港停泊中のボイジャー・オブ・ザ・シーズ船内
  • 出席者
    ロイヤル・カリビアン・クルーズ社アジア地区副社長ジーナン・リュウ
    東京都港湾局長多羅尾光睦、
  • 内容 2014年度においても東京港発着クルーズを複数回実施し、今後も継続的に東京港を発着港、寄港地として利用すること、また、両者の相互発展のために協力関係を継続する旨を記載。

東京都の覚書では、東京都の受け入れ体制については、あまり触れていないようです。

今後、覚書に調印しそうな港湾やクルーズ船社は?

東京都や広島県がクルーズ船優先寄港のための覚書を調印したとなると、他の港湾当局や自治体でもクルーズ船囲い込みのため、同じような行動を取ることになるでしょう。

特に、クルーズ船が急増している博多港、長崎港、従来からクルーズ船の多い神戸港、名古屋港などが考えられます。

また、クルーズ船が急増していなくても北九州港などは圧倒的にクルーズ船寄港が少ないものの、大都市で港湾の規模も大きいところはかえって焦って、覚書調印にやっきになるかもしれません。

現在では、ロイヤルカリビアンインターナショナル社だけのようですが、他には調印しそうなのはコスタビクトリアのコスタ・クルーズ、ダイヤモンド・プリンセスのプリンセス・クルーズ、セレブリティ・ミレニアムのセレブリティ・クルーズ、シルバーシャドーのシルバーシー、クイーン・エリザベスのキュナードなどが考えられます。

いずれにしろ、クルーズ船の受け入れ体制の充実度、地域の魅力などを武器に各港湾、自治体のクルーズ船獲得競争はさらに激化しそうですね。