4 海外のクルーズ船

海の無い県でクルーズ客船の乗客誘致 岐阜県の取り組み 名古屋港、金沢港そして伏木富山港から

福岡市・博多港をはじめ全国の港ではクルーズ客船の誘致合戦を繰り広げています。

しかし、海のない県でもクルーズブームに乗り遅れまいと必死の県があります。

岐阜県です。

白川郷
白川郷 Photo by かがみ~

岐阜県の狙いは、石川県金沢市の金沢港、富山県高岡市などの伏木富山港、名古屋市の名古屋港の3港です。

これらの港にクルーズ船が寄港した際に、バスや鉄道などで岐阜県まで来てもらいたいという作戦です。

というのも名古屋港から岐阜市までは、電車を乗り継ぐと約1時間くらい、伏木富山港から高山市まで高速道路経由で2時間位、金沢駅から世界遺産になっている白川郷までは、特急バスで約1時間15分位です。

クルーズ客船は、通常朝に入港しその日の夜には出港しますので、長くて12時間、一般的には8時間も時間があればいいほうです。

しかも、入国審査などで前後に1時間づつ取られると、実質6時間位が自由時間となることも。

その時間で往復に1時間×2で2時間も移動時間がかかるとなかなか来てもらうのにはハードルが高いように思います。

クルーズ客船も、近年、中国人の比率が高まっており、彼らの目的はどうかすると観光よりも爆買いなどのショッピングです。

高山や白川郷に巨大なショッピングセンターがあればですが、そもそも港近くのショッピングセンターで間に合ってしまいます。

だからと言って、岐阜県としてはみすみす近くまで来たクルーズ船の観光客を指を加えてみているのも悔しい、なんとかしたいという気持ちなのでしょう。

ダイヤモンド・プリンセス名古屋港入港時の岐阜県の対応

で、実際、岐阜県は具体的にどうしているかです。

8月18日、名古屋港金城ふ頭に2700人乗りのクルーズ船が入港しました。
プリンセス・クルーズのダイヤモンド・プリンセスです。

ダイヤモンドプリンセス Diamond Princess
ダイヤモンド・プリンセス Diamond Princess Photo by Mark Kortum

総トン数 115,875トン 竣工年 2004年 全長 290m 全幅 37.5m
航海速力 23ノット 乗客定員 2674人 乗組員数 1238人 船籍 バミューダ

この時、ダイヤモンド・プリンセスの入港は早朝6時、出港は夕方の5時です。
乗客の持ち時間は、11時間ですが、実際は9時間程度でしょう。

下船してくる乗客に対し、岐阜県は埠頭にブースを設置し、岐阜県の観光パンフレットや鮎の甘露煮などの特産品を並べて出迎えました。

どこまで効果が出ているのかは、つまり実際に岐阜県まで足を伸ばした乗客数は不明ですが、「どうやって岐阜まで行くのか」と関心を示した人はいたそうです。

岐阜県では、このようなPRを名古屋港、伏木富山港、金沢港などで継続していくつもりです。

さすがに、これではなかなか岐阜県には来てくれないと思った県は、今後、旅行会社などとタイアップして、各港発着の岐阜県行きバスツアーの企画を実現化しようとしているようです。

こちらの方が来県者の増加を期待できると思いますが、問題は、移動時間をかけていくバスツアーで、どれだけ乗客を満足させるかでしょう。

中国人の乗客はショッピング、欧米人は文化的な観光などそれぞれ目的も違いますし、興味や関心も千差万別です。

また、富山、石川、愛知各県の地元も、岐阜県から乗客を引っこ抜かれるのも面白く無いでしょう。

ただ、宮崎県油津に入港したクァンタム・オブ・ザ・シーズの乗客が、地元にショッピングセンターがなくかなり混乱した話もありますので、地元だけで巨大クルーズ船を受け入れるのも無理な場合もあります。

参考記事 免税品店ラオックス Laox 博多港のクルーズ船増加で大宰府をはじめ九州出店攻勢

クルーズ船社側としては、寄港地観光が充実すれば、それだけ乗客も増えるのですから、岐阜だろうが富山だろうがどこであろうと乗客が満足してくれればいいのでしょう。

ちなみに、岐阜県は今年、6月に港のある自治体で構成されている「全国クルーズ活性化会議」に港のない自治体として初めて参加しました。

港がないのだからクルーズ船は関係がないという意識をかなぐりすてて参加した岐阜県には敬意を表します。

九州でも博多港近くの佐賀県などは、唐津港などの港湾施設の充実やクルーズ船誘致活動に加えて、博多港からのクルーズ客船集客に努力されてはいかがでしょうか。