私は、「刑事コロンボ」のファンです。
現在、衛星放送BS-TBSで、月曜から金曜まで夕方5時から連続して「刑事コロンボ」のシリーズが放送されています。
http://www.bs-tbs.co.jp/columbo/
ほぼ毎日、録画して楽しんでいます。
ピーター・フォークが扮する「刑事コロンボ」は、ヨレヨレのコートに葉巻をくわえた風采の上がらないロサンゼルス警察の刑事が事件を解決していく刑事・ミステリードラマです。
日本では、1972年からNHKで放送が開始され、私もその頃からのファンです。
ミステリー・推理ものといえば、最後に犯人がわかるのが普通ですが、「刑事コロンボ」は最初に犯人が明かされ、コロンボがその動機や手口を解いていく筋立てて、この手法はミステリー界では「倒叙」と呼ばれているスタイルです。
刑事コロンボを参考にしたと思われるのが、脚本三谷幸喜、田村正和主演の「古畑任三郎」シリーズで、同じような「倒叙」で展開しています。
さて、クルーズファンにとっても興味深いのが11月9日に放送された「刑事コロンボ」の「歌声の消えた海 原題 Troubled Waters」です。
この回は、初回放送がアメリカで1975年、日本では1976年に放送されました。
犯人役のスターは、ロバート・ボーンです。この人は、1960年台に一世を風靡したテレビドラマ「0011ナポレオン・ソロ」のナポレオン・ソロ役で有名です。
ロバート・ボーン
「歌声の消えた海」のストーリーは次のようです。
ロサンゼルス港を出港した豪華客船「シーバレス」は、メキシコ・アカプルコに向かっていました。
この船には、主人公のコロンボ夫妻と大手中古車ディーラーのダンジガー夫妻が乗船していました。
貧乏刑事のコロンボは、「缶詰を買ってメキシコへ行こう」という懸賞でこのクルーズを当てた設定でした。
コロンボ ピーター・フォーク
ダンジガー氏が、愛人関係にあった歌手のロザンナを殺した事件をコロンボが解決するという筋立てです。
ドラマが全て航海中のクルーズ船で展開していますので、クルーズに興味ある人にとっても面白い回だと思います。
1960年代半ばのアメリカにおけるクルーズはどんなものだったのかが見えてくるからです。
刑事コロンボ「歌声の消えた海」のクルーズ船について
冒頭、ロサンゼルスの埠頭に停泊している「シーパレス号」が映しだされますが、さすがに船体に書かれている船名はボカシで分からないようにしています。
当時の客船ターミナル内をコロンボが駆けて来て、間に合わないのか塀を乗り越えて、ギャングウェイに向かいます。
1960年代の客船ターミナルの様子がわかって面白い場面です。
船内でも、ブリッジ(操舵室)、船内掲示板(乗客のコミュニケーション用)、医務室、機関室、シアター、パーサー事務室、船内売店、喫茶室、客室、サンデッキ、プール、輪投げ場、メインダイニングなどの場所が映しだされます。
これらを見ていると1960年代のクルーズ船の設備や食事、エンターテインメントなども垣間見えて、犯人を追い詰めていくのも面白いのですが、クルーズファンにはいっそう楽しめます。
さて、この舞台となっている白い船は、何処のクルーズラインで、なんという船なのか興味深く見ていましたが結局わからないまま、ドラマは終わりました。
すると、最後のエンドロールで次のようなキャプションが出てきました。
つまり、ドラマ撮影に関してプリンセス・クルーズとサン・プリンセスの乗組員の協力に感謝するというものです。
これで、ドラマの中の「シーパレス号」の身元が分かりました。
ドラマの中の「シーパレス号」
サン・プリンセス
総トン数 | 17,042トン | 就航年 | 1972年 | 全長 | 163m | 全幅 | 25m |
航海速力 | ノット | 乗客定員 | 720人 | 乗組員数 | 350人 | 船籍 | バハマ |
サン・プリンセスは、1972年に就航し、スピリット・オ・ブロンドン Spirit of Londonの船名でP&Oクルーズが運航しました。
1974年にSunPrincessと船名を変えました。
なお、現在、プリンセス・クルーズが運航しているサン・プリンセス 77,441トンとは異なる船です。、
刑事コロンボの「歌声が消えた海」は、1975年に初回放送されましたので、撮影がされたサン・プリンセスは、建造後3年の新しい船であったことが分かります。
この船は、2011年まで船名を「オーシャンドリーム」として上海の港湾クルーズ船として使用され、その後ベトナムに配船されたようです。