当サイトでは、博多港のクルーズセンターの情報をお伝えしてきましたが、いよいよ4月26日に稼働開始になりました。
円安の影響で外国人旅行客が増えていますが、中でも注目はクルーズ船の利用客です。
福岡市の博多港では、去年4月から今年2月までにおよそ19万人の外国人が入国しています。
福岡市は海外から福岡市に来る外国人客、いわゆるインバウンドだけでなく、博多港から世界へ向かう日本人、アウトバウンドも増やそうとしています。
今や、博多港では当たり前の光景となりつつあるのが外国クルーズ船の入港です。
最近は、クルーズ客船が大型化しており、一度に3000人を超える外国人観光客が降り立つことも珍しくなくなってきています。
10年前には、博多港へのクルーズ船の寄港回数は、1年にわずか14回でした。
しかし、円安などで寄港回数は急速に増え、昨年は99回、今年は倍以上の250回を超える見込みです。
外国クルーズ船の寄港回数で日本一が意外なことに博多港なのです。
急増するクルーズ船の受け入れ体制を強化しようと、福岡市は中央ふ頭に総事業費が約7億6000万円かけて完成させたのが2800㎡の「クルーズセンター FUKUOKA CHUO Wharf Cruise Center」です。
コスタ・クルーズのコスタ・ビクトリアが最初の利用船
4月26日のクルーズセンターの竣工式典の朝、イタリアのクルーズ客船「コスタ・ビクトリア」が中国上海から博多港に入港しました。
この船の乗客約500人が、クルーズセンターの最初の利用客です。
これまでクルーズ船が着くと、乗客はシャトルバスに乗って800mほど離れた定期船用の国際ターミナルで出入国審査を受けていました。
もともと800人程度の審査を行うための施設でしたので、3000人規模のクルーズ乗客の審査には約2時間半もかかっていました。
新設のクルーセンターでは、バス移動することなく直接審査が行われます。
CIQ棟の出入国審査を行うスペースは広さが約1500㎡もあり、学校の体育館のような広々とした空間です。
出入国審査を行うブースが、従来は8ヶ所でしたが最大20ヶ所となり、旅行客の荷物を置くスペースもタップリあります。
今まで受け入れにかかっていた2時間半が1時間短縮すると見込まれています。
そのため、乗客のストレスがが軽減されるとともに観光やショッピングの時間が長く取れることになり、それだけ消費効果も大きくなります。
ちなみにクルーズ船1隻あたりの経済効果は、1億9000万円とも言われています。
日本人旅行客2000人がコスタ・ビクトリアで博多港からクルーズに出発
コスタ・ビクトリア Costa Victoria Photo by Roderick Eime
総トン数 | 75,200トン | 竣工年 | 1996年 | 全長 | 251m | 全幅 | 32m |
航海速力 | 22ノット | 乗客定員 | 1928人 | 乗組員数 | 800人 | 船籍 | イタリア |
クルーズセンターが果たす役割として期待されているのは、外国人観光客受け入れるインバウンドの側面だけではありません。
日本人がクルーズ船の旅行を楽しむアウトバウンドもあります。
4月26日、コスタ・ビクトリアには、約2000人の日本人旅行客が乗り込みました。これらの人達が参加するのは博多港発着のクルーズ旅行です。
博多港を出発して、台湾の台北と沖縄県の石垣島を6日間で周るコースで、料金は約6万円~25万円です。
この安さのためか、去年11月の発売から約1ヶ月で売り切れるほどの人気クルーズです。
なお、今年の福岡発着クルーズは大好評のため売り切れているようですので、来年2016年のクルーズを紹介します。興味のある方は早めの問い合わせ・予約をおすすめします。
クルーズセンターの完成で博多港からのクルーズ人口増大に期待
これまで博多港発で日本人を対象にした数千人規模のクルーズツアーは、国際ターミナルが狭いため不可能でした。
しかし、クルーズセンターが完成したため、出国手続きの迅速化が図られたことで博多港発の大規模アウトバウンドツアーが、今回初めて実現したということです。
これまでは、中国の方がたくさん九州に来て経済の浮揚という話が多くありましたが、日本の方、九州の方が多くクルーズ船にのって楽しむという新しい旅行のスタイルとなっていくようで、まだまだ伸びる新しいマーケットと言えます。
新しいクルーズ施設の誕生で、大きく様変わりしつつあるのが、福岡市・博多のクルーズ事情です。
世界のクルーズ人口は、年間約2300万人ですが、日本のクルーズ人口は約24万人で、世界シェアのわずか1%です。
まだまだ、クルーズ人口は増える余地があり、博多港を玄関口としたインバウンド、アウトバウンド双方向の動きは今後活発化しそうです。