ある意味、クルーズの中でハイライトの1つが夕食、ディナーではないでしょうか。
ほとんどの乗客が毎日、ディナーを楽しみにしており、クルーズがクルーズとして最も光り輝く瞬間がディナータイムと入っても言い過ぎではないでしょう。
これらの乗客の想いを受け止めて、クルーズ客船側も乗客に最大の満足を与えるために、ハード・ソフトの両面からディナーを盛り上げようとしています。
夕食の場所も、バイキングレストラン、メインダイニング、専門レストラン、ルームサービスとありますが、今回はディナーの表舞台であるメインダイニングを主に説明します。
シーティング
シーティングとは、テーブルの指定制度のことです。
本来、レストランというものは、好きな時間に好きなレストランに行って、メートルディ(レストランマネージャー)などの案内に従ってテーブルにつくものです。
しかし、クルーズ客船の大型客船では、ゲストが数千人単位で乗船しており、これだけの人数がめいめい勝手に夕食を取れば、大混乱になることはおわかりでしょう。
それで、大型クルーズ客船、とりわけカジュアルクラスではフィックストシーティング制度があります。
フィックストシーティング Fixed Seating
事前にテーブルにつく時間とテーブル番号が指定されています。
ディナーとなると、普通2時間位かかりますので、開始時間を2回程度に分けています。
1回目 First 18:00頃~
2回目 Second 20:30頃~
例えば開始時間が1回目で、テーブル番号がNo.10と指定されれば、クルーズ中は常に、同じ時間とテーブル番号になります。
テーブルのウェイターも常に同じ人が担当することになります。
イメージ Photo by Alfred Diem
テーブルには、2名席、4~10名席などがあり、当然、他の乗客と相席になることが多くあります。
大事なことは開始時間を守ることです。遅れないようにテーブルにつくことは同じテーブルの乗客やレストラン側に対してのマナーです。
基本的には全員が揃ってから、ウェイターは注文取りなどを始めるからです。
なお、初日だけは指定されているテーブルがどこにあるのかわかりませんので、ウェイターなどが案内してくれます。
翌日からは、入り口からそのまま自分のテーブルに向かってかまいません。
相席であると聞くと、それも外国人と相席になるとなんだかうっとおしいなと思うかもしれません。
最初は、ぎごちない雰囲気でも、何回も同じ人と同席すると自然と打ち解けてくるものです。
船旅の醍醐味は、人との交流でもあります。
決して、多くの人にとって普段の生活では経験することがない外国人を含めて知らない人とコミュニュケーションを取る絶好の機会です。
前向きに考えていきましょう。
また、同じテーブルで同じ担当者に世話してもらいますので、自然とウェイターの方でも、プロ意識が高いので、乗客の好み、例えばニクの焼き方の好み、食後はコーヒーか紅茶などを覚えてくれますので、安心感が高まります。
自分の普段の生活リズムから考えて、1回目が早過ぎる、2回目が遅すぎる場合などがある場合は、予約段階で早目に希望を伝えておくことができます。
日本人には、1回目が人気ですが、若い欧米人などは夜遅目の2回目を選ぶ方が多いようです。
早起きの人は1回目、寄港地ツアーから帰ってきてのんびりしてから食事をしたい人、夜遊び派なら2回目がいいかもしれません。
また、あまり外国人と同席したくない方や新婚旅行などで2名席の希望もあるかと思いますが、これも乗船初日など早目にメートルディ(給仕長)などに希望を伝えておくことです。ただし、2名席は少ないので、乗船後の調整になることもあります。
船会社によっては、一応フィックスとシーティングが基本ですが、テーブルの一部をフリーにして、好きな時間にディナーができるようにしているところもあります。
なお、上は飛鳥Ⅱに乗船時のディナーのビデオですが、ワンナイトクルーズであったことで、一応開始時間は1回目と指定されていましたが、テーブル番号は指定されていませんでした。
それで、早めに行ったので、窓側の2名席のテーブルにつくことができました。
フリーシーティング Free Seating
大型客船、とりわけカジュアルクラスはフィックストシーティングとなり、指定の時間と指定のテーブルでディナーを取ることになります。
一方で、小型、中型のラグジュアリークラスのクルーズ客船では、そんな指定がないフリーシーティングとなります。
全クルーズの70%はフィックストシーティング、30%はフリーしてィングと言われています。
小型、中型客船は乗客数が少ないのでこういうことができるわけです。
フリーシーティングでは、ディナーの常識的な時間であれば、好きな時間に好きなテーブルで夕食を取ることができます。
入口付近でウェイターなどに、テーブルの人数や相席希望の有無などを伝えると、その都度、ウェイターなどが案内してくれます。
その際には、レディファーストを意識しておいたほうがよいでしょう。
食事を終える時間も、閉店までゆっくりできます。
イメージ Photo by Tom Mascardo
また、クルーズ中で知り合った人たちとも同じテーブルで食事ができます。
ディナーに関しての融通性や利便性は、圧倒的にフリーシーティングの方が優っています。
ただ、小型。中型のラグジュアリークラスは、料金もカジュアルクラスよりも相当高くなりますので、料金の差がこんなところにも現れてきています。
ただ、強制的に同席させられるフィックストシーティングでは、見知らぬ人たちとも知り合いになりやすいですが、反面、フリーシーティングでは、努力しなければ知り合いができにくいかもしれません。